[]あこがれの掃除道具

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Hくんが、どうしても体育館のモップに興味があるようで、

休み時間に勝手に触って、運動委員会の高学年に怒られたそうである。



「先生、Hくんが、体育館のモップを勝手に使って怒られてた」







そこで、体育館で堂々とモップを使いたくなり、



「ようし、次の学級の時間に、みんなでモップがけをしよう」



とつぶやいたら、



「エー!!」



と、どうもノリがワルイ。





そこで、ただのモップがけではつまらないから、カーリングをやることにした。



体育館には、運のいいことに、バスケなどで使う円が、床板に描いてある。



2チームに分かれて、ボールを転がして、その円に収まればよい、ということにした。



ところが、ボールは転がりすぎる。



転がるけれども、ある程度進むと、停止してくれるもの。



「先生、コロコロのついた机は?」



そりゃ、机は動くけど、大きすぎるよねえ。



「あ、あんなのがある」



体育器具庫から見つけたのは、跳び箱やその他重いものを運ぶ、キャスターのついた板(台車?)だ。



ためしにそれだけを転がすと、案外と軽く、向うの壁にまで届いてしまう。





「重たくした方がいいな」



Tくんを、そこに乗せて、2人が肩と背中を押し、そーっと手を放すと・・・



見事に、まるい円の中におさまった!!



急きょ、5人チームをつくる。



1人を台に乗せ、2人が背中を押す。のこった2人は、モップでその進路を磨くことにした。



まるで、スポーツのカーリングのようだ。



「なんか、これ知ってる!!テレビで、見たことある!!」



がぜん、盛り上がってきた。







モップを授業中に、堂々と使えるので、Hくんも満足である。



しかし、氷の表面を磨くスウィーピング役が、モップを持って、必死に台車の進む前を磨くのは、滑稽な絵であった。



また、本当は、氷とちがって、床板をウォォォォ!と磨いたところで、とくに意味はないんだが・・・



でも、みんな、いちばん、その役をやりたがっていましたナ。

souji_yuka_mop