消しゴムをひろってくれる人【道徳授業】

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落ちた消しゴムを、拾う。



自分が落とした消しゴムは、



「あ」



と思って、拾う。



なんでひろうのかな。



「自分が使うから」







となりの子の消しゴムが、落ちた。



それを、自分がひろう場合は・・・。



そのときも、



「あ、ひろおう」



と思って、拾う。



なんでひろうのかな。



「自分は使わないけど、〇〇くんが使うから」



「〇〇くんだと、なんでひろうのかな」



「え?なんで?・・・考えたことない」







なんで、消しゴム、ひろうのかな。



となりの〇〇くんの消しゴム、なんで拾うのかな。







「理由は無いけど、拾いたくなる」



わたしが意地悪く、



「えー、理由はなんか、あるでしょう」



と煽ると、



「えー?」



「理由?ある?」



みんな、口々に言って、混乱する。







「やっぱ、理由ない」



「あ、そうだ。わたしが踏んじゃうかもしれないから」





わたしは、さらにつっこむ。



「踏んじゃうかもしれないと、なんで拾うの?」



「えー??そこまで考えるの?ええーっ??」







なんで拾うのかなあ。



拾ったって、拾わなくったって、どちらでもいいのに。



拾いなさい、と指示されたわけでもなく、



拾わなきゃならん理由もなく、



拾うからトクとか、一切無いのに。







〇〇くんに、どう思われるかが気になるから、拾う?



「えー?ぜーんぜん!!」







じゃあ、いったい、なんで拾うのか??







ぼくら、なんで、ここにいるんだろうか。

こうして、いっしょに、ここにいる理由って、なんだろう?







こういうことを考えた後、とくに結論はでないけど、



教室の中の空気は、かなりしっとりと、いい雰囲気です。



みんな、機嫌がよくなって、満足しています。



道徳の授業をした後は、こんな空気になるから、おもしろい。



bunbougu_keshigomu