[]平成の子も、ミステリーで盛り上がる!?

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UFOといえば、矢追純一

ミステリーサークルやCIAにつかまった宇宙人の写真など、思えば昭和の子どもたちは、それがどうにも嘘くさいと分かっていながら、きちんとその、「大人の遊び」に付き合ったものだった。





水曜スペシャルの「探検隊」シリーズ。

あきらかに嘘くさい演出が、かえって「遊び」を盛り上げていた。



「恐怖の首狩り族はまだ生きていた!」



みたいな放映があったような気がするけど、ありゃ、本当に怖かったヨ・・・。





そういえば・・・思い出したことが・・・。



金色に輝くキングコブラを見ると寿命が100歳までのびると言われている、という報道で、探検隊メンバーが目を見開いてその映像を見ているシーンがあった。

そのギンギンに見開いた目で、ジャングルの木をバックに映し出された探検隊員の顔と、金色に塗られたキングコブラの映像が、同じ一度のアングルに収まらないまま、たがいにアップで映されるばかりでCMになった。

なんか雰囲気がおかしいな、と思ったら、一緒に見ていた父が



「これ、別撮りだ」



と言った。



分かってはいたけど、なんだか淡く、寂しい気持ちが湧いてきたのを覚えている。







テレビ製作会社に向けて、わたしは呪うように



「チッ!もうちょっと、上手にやれよ!!」



と、その時、言ったような気もする。











ま、そんな経験をふまえたうえで・・・



私は、平成の子は進んでいるし、今はそんなふうに大人も遊んでいる暇がないため、もうUFOだのミステリーだのには、目もくれないのかと思っていた。

ところが、ひょんなことから、うちのクラスに、小さなミステリー騒動が持ち上がりまして・・・。





うちのクラスの子が住んでいる団地の近くに、整骨院があります。

個人経営の小さなもので、ズッコケ3人組のモーちゃんのような雰囲気の、Fくんのうちの近所だ。



Fくんが、その人を見た。



その人は、灰色のジャンパーを着ていて、古風な帽子をかぶっている。

杖をついて歩いていたが、角を曲がると、突然、消えた、という。



すでにその場所は、整骨院の入り口を過ぎていたから、整骨院に入った訳ではない。

また、その角(かど)に人家の入り口のようなものはなく、ずっと角を取り巻くように高い塀が続いているから、どこかの家に入った、というわけでもないのだ、という。



「とつぜん、消えたんだよね。で、まわりをずっと探したんだけど、本当に居なくなってた」



あまり嘘を言うタイプではないモーちゃん。

静かに、自分の見た、驚きの体験を語ってくれた。





次の週、土曜日に野球のクラブに行こうとしていたTくんが、また、その人を見たらしい。



「おれも見た!」



月曜日の朝、興奮交じりにTくんが語るのを聞くと、その灰色のジャンパーの人は、おそろしく歩くのが遅く、ゆっくり半歩くらいずつしか、進んでいかないらしい。

Tくんは、その人を自転車で追い抜かしつつ、あ、そう言えば、と思い出した。



「あー、このあたりのことだよな、人が消えた場所って、Fくんの言ってたところ。まさか、この人がそうじゃないだろうな。もしかしたら、そうかな?」




そして、振りむいて灰色のジャンパーの人を見ると、その人はおじいさんかおじさんか区別つかない人で、白髪のようで白髪ではなく、Tくんと目を合わせることなく、ただまっすぐ歩いていたらしい。



Tくんは道路を横断するため左右を確認し、車が来ないので道路を渡ろうと思った。





再度、おじさんが気になってみてみると、



驚くべし!





おじさんは、またしても、そこから居なくなっていたのだった!!





(つづく)



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