叱らないと決めたら・・・その2

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あまりの効果の高さに、わたしは驚愕し、これはいったいどういうことか、と解析にやっきとなった。



もしかすると、これまで大人が子どもを叱っていたのは、



ただ単に。



きちんと教えてなかったからではないか。







これは、もしそうだとすると、あまりにも巨大な人類史上初の大発見になるため、

わたしはその、妄想じみた考えを、たちまちにして脳から追いやることにした。



いやいや。



太古以来、人類は子どもを叱り続けてきた。



地球上のどの文明にも、おそらく子どもを叱る、ということについては、



「それが普通。子どもは大人を困らせるものであり、言うことを聞かない。だから懲らしめて、言うことを聞かせるために、叱るのが人間として当たり前」




という前提をもっていると思われる。





それが、わたしのたった何日かの実験で、くつがえされるはずがない。





わたしは、自分で自分を笑うことにした。



笑いのめすことにした。



そして、



「そんな馬鹿な」



と、大声で何度もくりかえし、だれもいない教室で、独語した。





「叱るはめになるのは、ただ、教えていないからだって?」




わたしは大声で笑い、



「そんな馬鹿な。いくら伝えても、教えても、それでも反抗しやがるんだ。いくら教えたって、言うことをきかないのが、子どもってもんさ」




と、震えながらひとりごちた。



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