[]感情の名前を、教えない

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わたしは、感情の名前を、教えない。



学習指導要領に、すべての感情の正しい名称を教える、というのがあれば、教えるだろうが・・・。





体験したことも無い感情の名前を、



「悲しみ」



と教えるのではなく、



「なんか不思議な感じ方」



としか、言わない。







あなたなら、どうつける?



と言うと、



「え、つけてもいいの?」



と聞いてくる。





そんなもの、自由に決まっておろうが!







こんなふうに、感情の名前を正しく言わねばならない、というのは、



日本人が全体に、緊張しすぎているからではないだろうかと、ふと思う。



なぜ、日本人はこうも、



頑張り屋で、スポ根大好きで、緊張しているのだろう・・・。









「世間では『悲しみ』と呼んでるけど、あなたの好きなように呼んでいいし、ペットみたいにかわいがってもいいんだよ。棘針があるから触らない方がいいけどネ」



「わかりました」







その子はそっと心の奥の方に、その感情をくるくると押し戻して、



「見なかったことにします」



と言った。



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