[]微生物教育のすすめ

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微生物教育の最大のメリットは、子どもが「科学の目」を養うことにある。

とくに、目に見えない世界を感じ、想像し、その世話を通して体験的に学ぶ価値は、他のどの教育とも比較して遜色がない。



これからの時代、21世紀の将来的な日本の戦略にも合致している。

微生物は日本人が古くから大事に付き合ってきた世界だ。

漬物、発酵、加工。

みそやしょうゆに限らず、日本酒の世界でも、職人たちが酵母を人の赤子のようにかけがえのないものとして大切に育んできた。これは、日本人のきめ細やかな精神が可能にしてきたものだ。



日本の料理店が食通のフランス人をうならせ、ミシュランで星を獲得するのも、日本酒のように素材を生き物として扱うかのような、繊細な「和食」の世界をみれば、だれもがうなずけるからだろう。



さて、授業で扱うとすれば、みそやしょうゆ。

これは地元のみそメーカーや、醤油の製作会社に総合的な学習の一環として協力をお願いし、子どもたちが見学に行くこともできる。自分たちで酵母を育て、「発酵」という世界を知ることもできる。



愛知はとくに八丁味噌、豆を発酵させることを知る土地柄である。

いろいろなメーカーに協力をお願いすれば、子どもたちが「微生物、酵母、菌」というものを身近に感じられて生活に役立てることができる知識や技量を習得することができるだろう。すでに、多くの学校が、このような微生物教育を実践し、子どもたちは微生物の世界を学習している。

〇愛知県の味噌メーカー



マルサンアイ(愛知県岡崎市

まるや八丁味噌(愛知県岡崎市

カクキュー(合資会社八丁味噌)(愛知県岡崎市

イチビキ(愛知県名古屋市熱田区

キッコーナ(愛知県名古屋市北区

盛田(愛知県名古屋市中区)

ナカモ(愛知県清須市



〇愛知県の醤油メーカー



キッコーナ(愛知県名古屋市

日東醸造(愛知県碧南市

七福醸造(愛知県碧南市

ユタカフーズ(愛知県知多郡武豊町




これらのメーカーと協力して教材を開発し、人材を育て、将来にわたり、日本は世界に冠たる「微生物国家」としてそのけん引役を買って出るべきである。



まずは小学校で、堆肥をつくるところから。

あるいは、家庭でコンポストをつくるところから。

児童会活動とのリンクも当然、考えられる。



このような子どもたちの生活学習が行われて行けば、大人の世界も変化していく。

生ごみ、という言い方が、これからは消滅していくであろう。

「微生物のごちそう」という言い方に変わっていく。

そして、生き生きとした土をつかって、家庭菜園。

もちろん、家計の節約にもなるが、そこはメインではない。

目的は、微生物、目に見えない世界を感じることの豊かさを、人間が知っていく、という点にある。



これから、微生物教育のためのテキスト開発を行い、日本中の教師が「微生物教育」を学校で実践していけるようなシステムづくりを進めたい。その端緒を開くことが、微生物と共に生きる日本人の、古代縄文より連綿と打ち続く豊かさを、日本人にふたたび思い出させることになろう。