[]「イタイイタイ病」という、ネーミングの重要性

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5年生の学習で、もっとも印象に残った単元は何か、というと、



うちのクラスでは、



社会科の『公害』だという子が多かった。





水俣の、悲惨な「伝染病差別」について調べたら、図書室の資料が凄すぎて、相当にショックだったようだ。





また、イタイイタイ病、にとても多くの子が、コメントを寄せている。



3学期の学習を振り返る、という学習ノートを見ると、



イタイイタイ病で苦しんだ人のことを調べたのがとても勉強になった」



というのが、多い。









これは、イタイイタイ病、というネーミングが、ショッキングなのだ。





そういえば、私自身も、小学校の頃の社会科学習で、この



イタイイタイ病



という病名が、克明に脳裏に刻まれて、記憶されている。









この病名は、最初はどなたが考え出したのか、言い出したのか、



おそらく新聞社かどこかの記者か、



あるいは、お医者さんなのだろうか・・・。









イタイイタイ病



このネーミングをつけて、使用した段階で、すでにこの病気の苦しさ、痛み、背景やイメージまで、累々とベッドに居並ぶ患者さんたちの構図とともに、ありありと浮かんでくるではないか。





このネーミングは、ふざけて名づけたのではなく、もうショックと悲しみ、やるせない気持ちのまま、憤然として、決然として、世に訴える、という強い意志でもって、現実を知る方のうちのどなたかが、名付けたのだろうと思われる。



その意志は、今でも確実に、小学校の各教室の、子どもたちの感性に響き、引き継がれている。



ネーミングの勝利だと思う。









TPPで家庭菜園が禁止されるとか、不安視している人がいる。

当然、そんなことは起こりえないと思うのだが、そのような不安があることは事実。

そこで、その不安感に、ネーミング。



「おふくろの味喪失不安」



・・・まんますぎるかな。







大阪の学校給食がまずくて不満が高まっているというが、もともとは、「公の需要」である給食について、良質な業者が競争意識でもって、コストカットしながらも安価で美味であったかい、栄養的にも安心できる給食を提供できるはず、という楽観的観測で民営化されているのだから、この「民営化」をこう名付ける。



「スーパーウルトラ業者発掘システム」









原発公害で汚染物質がアンダーコントロールされていることについても、ただちに影響はなく、風評被害とされたことは、



「見えない公害」



と強く断言してしまおう。









小腸や大腸が安定していて、スムーズなお通じがあり、風邪をひかないで健康であることは、健全な腸内環境である、というのを略して、



「健腸」



と短くしてしまう。









相手の話の意図を一瞬では理解できずに、真意が未だ伝わらずに悶々としている状態を、

相手の理解の一時停止状況であることから、



「あ、ちょっと今、〇〇さんポーズ中」



というふうに会話しましょう。









こんなダイアローグで。



妻「あ、これ、賞味期限きれそう」



私「ん?(どゆ意味?)ちょっとポーズ」



妻「はやく、食べてくれってこと」



私「あ、オーライ」









世の中、ネーミングされていないものの方が、多いものね。





詐欺の電話は、「オレオレ詐欺」なんてダサいネーミングで呼ぶようになってから、わけわかんなくなった。

被害が逆に増えているでしょう。





このネーミングが、そもそもの失敗です。



詐欺電話のことを、



「キツネ男からの電話」




と、ちょっと物語風によべば、



「あなたキツネ男?」



と切り返しができるでしょうに。



詐欺電話はオレオレ詐欺というから、わけわかんなくなった。




「いや風邪ひいちゃってさ。声が変わってるかもしれないけど、孫のタカシだよ」

「きつねのたかし?」

「いや、本物だよ!で、ちょっと事故っちゃって、すぐに示談金100万要るんだ」

「きつねのくせに、車を運転するの?」

「人間だよ!・・・で、現金を振り込むんだけど、口座が今使えなくて、そのまま封筒に入れて送ってほしいんだ」

「きつねの住んでるところは、山の中だろ!」




このように、ずっとキツネでいじりたおすことができて、便利です。

ネーミングと言うのは、このように便利になるように、使わなければ、ネ。