[]おかあさん

.

どの子も、お母さんのことになると、真剣に作文を書く。



どの子も、自分のお母さんはとくべつに、いい、と思っている。





お母さんの誕生日に、なになにをしてあげた、というのを、子どもが日記に書いてくる。



すると、お母さんはとてもよろこんでくれた、と、たいていは書いてある。



兄弟が3人いて、いちばん上のお姉ちゃんは、〇〇を、



中のお兄ちゃんは、〇〇を、



わたしは〇〇をしてあげました、と書いてある。







詳細が記してあり、



上のお姉ちゃんのプレゼントについては、お母さんはこう言った。



中のお兄ちゃんのプレゼントについては、お母さんはこう言った。



わたしがあげたプレゼントについては、お母さんはこう言ってくれた、と書いてある。



子どもは、言葉の端々まで、ぜんぶ、そのままきっちりとよく、聞いているのです。









夕飯のあと、お母さんが片づけをしながら、口笛を吹いていたので、



「おかあさんが口笛を吹いてる」と言ったら、



「あんたたちのプレゼントがうれしかったからね」



と言っていました。


そんなことまで、ぜんぶ、覚えていて、日記に書いてくる。







「うちのお母さんって、こうなんだよ」



ということを、聞いてくれる人が要るのでしょう。



だから、手近な、先生に話すのでしょうなあ。









お母さんのやることなすこと、みんな、嬉しいのですナ。



おかあさんは、やはり、特別だなあ、と、



教師生活を続けているほどに、その思いは深くなっていくばかりです。



P5210249