[]休み時間がいちばん楽しい
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くやしいけれど、どんな楽しい授業をしたって、休み時間にはかなわない、という気がする。
休み時間は、子どもが息を抜ける時間。
教室には、ほとんどの子がいなくなる。
残るのは、たったの2、3人。
その2、3人は、読みかけの本を夢中で読んでいたり、オルガンを弾いたり。
男の子たちはみんな、校庭か広場で遊んでいる。
わたしは、子どもを見に行く。
ともかく、ぶらぶら、する。
わたしがぶらぶらしていると、興味を持って、話しかけてくる子もいる。
木の近くで、わなをつくっている子がいる。
「これで、かぶとを捕まえる」
・・・のだそうだ。
わたしはその、木の枝が組み合わされた物体を見るけれど、仕組みはよく分からない。
しかし、彼らはそれがいかにも緻密な精密工芸品であるかのように、扱う。
「ここ、すぐとれちゃうからね。持つとき、気を付けて」
その宝物を持たせてくれるが、このときばかりは、教師と子どもの立場は逆転している。
わたしは、すべて彼らの指示を聞かねばならない。
わたしはふと、思いついて、ハトをよけるための工作作りにとりかかる。
ハトがなぜだか、教室の近くにやたらにくるようになった。
たぶん、巣作りの場所を選んでいるのだろうと思われる。
巣ができればそれを見るのも面白いが、教室の入り口なので、糞公害がひどく、これは対処せねばならない。
大きな目玉をつくろうとしていると、興味しんしんで寄ってくる。
「せんせい、なにするの?」
わけを話すと、
「ぼくも!ぼくも!」
と、みんなでいろんな種類の目玉をつくることになる。
どの子も、休み時間は、活発に学んでいる。
ちっとも、休んでない。
こら!きちんと、休め!!
休み時間に、活発に学び、
授業時間に、休んでいる。
サカサマやな。