日本人は緊張している

.

わたしは、虫の名前を、教えない。



学習指導要領に、すべての昆虫の正しい名称を教える、というのがあれば、教えるだろうが・・・。





見たことも無い毛虫の名前を、



「タケカレハ」



と教えるのではなく、



「ナンジャコレハ」



としか、言わない。







あなたなら、どうつける?



と言うと、



「え、つけてもいいの?」



と聞いてくる。





そんなもの、自由に決まっておろうが!







こんなふうに、虫の名前を正しく言わねばならない、というのは、



日本人が全体に、緊張しすぎているからではないだろうかと、ふと思う。



なぜ、日本人はこうも、



頑張り屋で、スポ根大好きで、緊張しているのだろう・・・。









「本当はタケカレハだけど、あなたの好きなように呼んでいいし、ペットみたいにかわいがってもいいんだよ。棘針があるから触らない方がいいけどネ」



「わかりました」







その子はそっと竹藪の奥の方に、その虫を葉っぱごと押し戻して、



「見なかったことにします」



と言った。



タケカレハ