[]あっと驚く、「国民全員100万円法案」とは
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ちょうど、6年生の社会科で、政治の勉強をしているところです。
トランプさんが大統領になった、というので、大統領と総理大臣はちがうのか、という質問が出ました。
そこで、オバマさんの就任時の、あの熱狂的なフィーバーを思い出し、その大統領就任の時の感動的なスピーチが本になっていますから、それを図書館で借りてきて、子どもたちに見せました。
オバマさんが大統領になったのは8年前ですから、今の子たちはたったの4歳。
あの、「オバマフィーバー」を知りません。
昨日のトランプさんの集会には、数字をCNBCとWSJ紙からひろってみますと、なんと70万〜90万人が、米大統領就任式に参加したり集まったりしたそうです。
にわかには、信じがたい数字ですが・・・。
オバマさんのときは、それよりも100万人多い、180万人。これはWIKIから拾った数字なんですが、これもまた、にわかには信じがたい数字です。
さて、今やトランプさんは、新しい法案や政策をつぎつぎと発表しています。
「みなさんにも、新しい法案を考えてもらいます」
といって、授業を進めます。
「法律をつくることができるのは、誰ですか」
みんな、資料集や教科書から、答えをみつける。
「国会議員と内閣」
そうですね。これからはみなさんに、国会議員の役をやってもらいます。
国会でまず行うことは、内閣総理大臣指名選挙ですから、総理大臣の立候補者を募ります。
立候補者を募ると、Yくんが手を挙げました。
他の子は、なにがなにやら分からないので、不安げに様子を見守っています。
クラスを3つにわけ、おおまかにそのうちの2つを衆議院、のこりの1つを参議院にしました。
ルールとしては参議院でもいいのですが、通例でYくんを衆議院の議員だということにし、両議院でYくんを指名させ、Yくんが総理大臣だ、ということになりました。
さて、ニコニコしているYくんを、「Y総理!」と呼びながら、授業は進みます。
Y総理の公約は、「ベーシックインカム法案」です。
本当の名前は、「毎年国民全員が100万円もらえる」という法案です。
そんなことをしたらインフレですごいことになるし、赤字国債で破綻する、という、秀才Aくんの忠告やおろおろ声を乗り越え、クラス全員、
そりゃあ、いい!!
と、この法案を通すことになりました。
まずは総理大臣になり、内閣を組織します。
官房長官はだれ?
スピーチの上手な人がいいよ。
「じゃ、Fさん」
Y総理は、クラスの秀才女子、Fさんを指さしました。
Fさんが拒否しなかったので、Fさんが官房長官です。
文科大臣は誰にする?
学校のことや、科学のことを担当する人だよ。
「じゃ、理科係」
次々と、内閣を組織していきました。
厚生労働大臣には、クラスの国会議員ではないですが、保健の先生を指名します。
防衛大臣は、教室の後ろの扉近くに座っていた、文学少女のBさん。
「ええ? なんでわたしなの?」
「不審者が入ってきたら、そこで撃退してほしいから」
この国の防衛大臣は、まっさきに身を挺して戦う人が大臣ということらしいです。
「え?大臣自ら、まっさきに暴漢と戦うの?」
「当たり前じゃん」
内閣が誕生しましたので、記念撮影をします。
つぎに、内閣が法案を出します。
Y総理 「えー、この、国民全員100万円法案を、ぜひ通してください」
野党の秀才、Aくんから横やり。
「そんな法案を通したら、国家の財源がなくなってしまいます!」
Y総理 「しかし、絶対に犯罪が減りますッ!!!」
A議員 「財源はどこにあるんですか!」
Y総理、
「この道しかないッ!!」
ここで、おおっ、というどよめきと拍手が起こりました。
つまり、現役の小学生にも、「この道しかないっ!」と断言する「手法」が、ある一つの政治の型(カタ)として認知され始めている、ということですね。
軽い審議の後、採決。
衆議院を、法案が通過しました。
つぎは参議院です。
さっきから、手ぐすねをひいて、参議院のメンバーが待っていました。
目つきが怪しいです。
「ぜったいに廃案にしてやろう」
という感じ。さっき、あんなに賛成してたのに。
Aくんが、「これ通したら、税金がむちゃくちゃ高くなる」とか、「破たんする」だとか、不安げなことをつぶやいている影響でしょうか。
案の定、参議院では否決されました。
「このあと、本当の国会ではどうするのでしょうか」
みんな、教科書をみて、確認します。
「再度、衆議院で話し合います」
そのとおり。
衆議院にもどってくると、衆議院のメンバーも、目つきが怪しくなっています。
野党のAくんが、トイレ休憩の5分間に、相当な根回しをしたようで・・・。
衆議院でも、審議が紛糾!!
もつれにもつれました。
そこで、強行採決(人間かまくら)、という方法があることを伝えました。
安保法案のときの、やり方です。
すると、Y総理が
「それだ!」
と叫んでみんなをよび、なにやらごにょごにょ・・・
「全員、立て!」
と叫ぶやいなや、
「採決!!可決しました!!」
・・・
法案が通りました。
ぶぜんとするのは、秀才のAくんです。
しかし、さすがにAくん。不敵な笑みをうかべまして・・・
「先生、今の採決の方法に納得がいきません。内閣不信任案を出します」
まさかの不信任案が出た!!!
Y総理。ひたいに汗をにじませています。
どうなるのでしょうか。
わたしも分かりません。
社会だけで、3時間使っちゃった。
金曜日の午前中が、社会だけで終わるかもしれない。
こんな予定じゃなかったのに・・・。