[]日の出を見に行く

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車をとばして、日の出を見に行った。



その瞬間、目の前に

一本の、光の道ができた。



太陽の光は、1億5000万キロの彼方から、

あっという間に、そこら中に届く。



世界は、すべて、

そうなるように、なるように、と

人が生きるように、幸せであるように、と

不思議なことに出来上がっていて、



なるほど、古代の人が太陽を神と思うのもわかる気がするし、海もまた、神であるに違いない。



太陽が完全な円なのは面白味に欠けるから、

いっそのこと、五角形か何かならいいのに、と言ったら

妻は

「赤ちゃんでもだれでも、簡単に書けて、わかりやすいのがいいでしょ?だからよ」

と神以上の洞察力で、ことも無げにぼくをあしらった。



帰り道の高速道路で見ていると、空の色はだんだんと青くなっていった。





サービスエリアに、黄色いゆずを売っていたので、妻が買った。



「ゆずも円(まる)いな。風呂に浮かべりゃ、波の向こうから昇る、今朝の日の出の再現ができるぜ」



妻はあきれて返事もない。



太陽の役は、ゆずより蜜柑がいいかもな。

朝見た太陽の色を思い出して、ぼくは思った。



写真 4 (3)