[]胃カメラ初体験 その2
細いストローが、わたしの鼻の穴に、吸い込まれていく。
目の前のテレビ画面には、ふしぎな世界が展開する。
鼻毛の森を抜け、妙な鍾乳洞の道を抜けると、わりとすぐに胃だった。
もっとつるっとしたイメージであったが、実は胃は、かなり複雑な構成になっているようであった。
小さな部屋を、何度も言ったり来たりしたような気がする。
「わたし、牛じゃないのに、なんでこんなに部屋がいくつもあるんですか?」
「そういうふうに、見えるんですよね」
医者は、わりとスッと答えて、自分の興味あるところへどんどんとカメラをうごかしているようである。
口からでなく、鼻の穴からチューブ(カメラ)を入れるので、医者と会話することができる。これはすごい。
しかし、医者の態度はそっけないもの。
患者の質問など、たいしたことではなく、今自分が潜入している、あたらしい洞窟の中の方にこそ、興味があるのだ、という感じか。
さて、結論を言うと、妙な潰瘍などはないとのことで、安堵した。
最後に、麻酔が効き過ぎて、領収書の文字が見えないほどまで混沌としたので、しばらく待合室で横になった。
(ちょっと、麻酔が効き過ぎたのじゃないの!!?)